介護保険の限度額がいっぱいでも、受けられるサービスがあります 医療保険の訪問鍼灸という別枠
ケアマネジャーさんから「このままだと、限度額を超えてしまいます」と言われた。デイサービスを減らすか、ヘルパーさんの回数を減らすか。でも、どれも今の暮らしに欠かせないものばかりで、削れるところが見当たらない。
「腰の痛みも何とかしてあげたいけれど、これ以上は無理かな…」「超えた分は全額自分で払うしかないのかな…」。介護保険の限度額という壁の前で、そんなふうに立ち止まっているご家族は少なくありません。
でも、介護保険の限度額は、介護サービスすべての上限ではありません。介護保険とは別の財布で受けられるサービスがあります。僕たち鍼灸師が行う、医療保険の訪問鍼灸もそのひとつです。
介護保険の限度額とは、何の上限なのか
介護保険には、要介護度ごとに「1ヶ月にここまで使えます」という上限があります。正式には区分支給限度基準額といい、要支援1から要介護5まで、段階が上がるほど枠も広がります。この枠の中であれば、自己負担は1〜3割で済みます。
枠を超えて介護サービスを使うと、超えた分は全額自己負担になります。ケアマネジャーさんが「限度額」と言うとき、指しているのはこの枠のことです。具体的な金額は要介護度や改定によって変わりますので、お住まいの市区町村や担当のケアマネジャーさんに確認してください。
ここで大切なのは、この枠が介護保険のサービスだけの上限だということです。訪問介護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具のレンタルなど、介護保険で受けるものを足し上げた合計が、枠の中に収まるかどうか。それが限度額の話です。
介護保険の枠の外に、医療保険の枠があります
一方で、医療保険で受けるサービスは、介護保険の枠には入りません。病院にかかる医療費が介護保険の限度額を圧迫しないのと同じです。たとえば、お医者さんが家に来る訪問診療。そして、鍼灸師が家に来る訪問鍼灸も、医療保険(療養費)で受けられるサービスです。
家計にたとえると、介護保険の限度額は「介護のための財布」です。その財布がいっぱいになったからといって、「医療のための財布」まで空になるわけではありません。財布が別なので、デイサービスを減らさなくても、ヘルパーさんの回数を削らなくても、訪問鍼灸は受けられます。
「限度額がいっぱいだから、もう何も足せない」と思い込んでしまうのは、無理もありません。制度の仕組み上、介護保険と医療保険は分かれているのですが、それを教えてもらう機会は意外と少ないからです。知っているかどうかで、選べることの幅が変わるところです。
医療保険の訪問鍼灸を受けるための条件
別枠とはいえ、誰でも無条件に受けられるわけではありません。医療保険で訪問鍼灸を受けるには、いくつかの条件があります。
- かかりつけ医の同意書が必要です。鍼灸の施術を受けることについて、お医者さんに同意していただきます
- ひとりでの通院がむずかしいことが、家に来てもらう条件です
- 神経痛、腰痛症、頸腕症候群、五十肩、リウマチ、頸椎捻挫後遺症など、慢性的な痛みのある場合が対象です
- 同じ病気で病院の治療を受けている間は、鍼灸の保険は使えません。たとえば腰痛で整形外科にかかりながら、同じ腰痛で保険の鍼灸を受けることはできません
条件に当てはまるかどうかは、お話を伺えばだいたいの見当がつきます。同意書のお願いの仕方も含めて、迷ったら先にご相談ください。
自己負担はどのくらい?
医療保険ですので、自己負担はご本人の医療保険の負担割合に応じた額になります。1回の施術は20〜30分程度で、脳梗塞の後遺症やパーキンソン病、認知症のある方には週2〜3回を目安にお伺いしています。
具体的な金額は、医療保険の負担割合や施術の内容によって変わりますので、料金ページでご確認ください。保険の条件に当てはまらない方やご家族には、自費の出張鍼灸(1回6,000円、訪問料込み・所要 約30分)もご用意しています。保険の訪問鍼灸が合うのか、自費の出張鍼灸が合うのかも、体を見たうえでご説明します。
ケアマネジャーさんに、どう伝えればいいか
介護保険の枠の外とはいえ、ケアマネジャーさんには一言お伝えしておくことをおすすめします。ケアプラン全体の中で、ご本人の一週間を見てもらえるからです。伝え方は、たとえばこんな形で十分です。
- 「医療保険で受けられる訪問鍼灸を検討しています」
- 「介護保険の限度額とは別枠だと聞いたのですが、合っていますか」
- 「デイサービスやヘルパーさんの日と重ならないように、訪問の曜日を相談したいです」
ケアマネジャーさんの中には、訪問鍼灸をよくご存じの方もいれば、あまり接点のなかった方もいらっしゃいます。わからないことがあれば、当院からも制度の仕組みをご説明しますので、遠慮なくお申し付けください。
「削る」ではなく「足せる」と知ること
限度額の壁にぶつかると、どうしても「何を削るか」という考えになりがちです。でも、本当に考えたいのは「ご本人が少しでも楽に、家で過ごすには何が要るか」のほうではないでしょうか。
デイサービスの日はそのままに、ヘルパーさんの日もそのままに。その間の曜日に、痛みに目を向ける時間がひとつ加わる。朝、起き上がるときのつらさが少し違ってくれば、デイサービスへ出かける足取りも変わるかもしれません。効果や感じ方には個人差がありますが、選べる手がひとつ増えることは、ご家族にとっても小さくない安心だと僕は思っています。
なお、急に強い痛みが出た、急に手足が動かしにくくなった、といった場合は、施術より先に医療機関を受診してください。鍼灸は、お医者さんの治療を受けたうえでの選択肢です。
無料体験(所要 約40〜50分)では、制度のことも含めてご説明しています。ご家族の同席をおすすめします。「限度額がいっぱいだから」と、あきらめる前に一度ご相談いただけたらうれしいです。介護保険の枠に縛られずに、ご本人にもご家族にも、少し楽な毎日が続きますように。
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